エスカレーターで・・・。
あるショッピングセンターの上がりエスカレーターに
若い二人の女性が話に夢中になりながら乗った。
そのすぐ後ろを二才くらいの
まだ歩き方が危なげな女の子が小走りでついて行った。
手を添えてあげないと
今にも転びそうな様子で
思わず、「あっ・・」と私は小さな声が漏れた。
そのとき、チラッと女性たちがこちらをみて、
女の子に
「もう!何やっとんの!?」
と軽く注意した。
言ったほうの女性が母親のようだった。
でもすぐに前を向き、また話を始めた。
母親らしき女性のうしろの段に女の子は立ったが
心配で心配で気になって、
私は女の子の後ろに立った。
真ん中くらいにきたとき、
その女の子が動いた瞬間、
その子の上体のバランスが崩れ、
頭から落ちてきて、
私はビックリして、
「あっ!!」
と大きな声を出して、
とっさに受け止めた。
でも、半回転するような変な落ち方で
私もバランスが少し崩れ、
もう一歩のところで
その子を落としそうになった。
私の腕から零れ落ちそうになった、
その女の子の細くて小さな指は
エスカレーターの溝にはまりそうで
恐ろしくてゾクッとした。
私の声と
火がついたように泣き出した女の子の声で振り返り、
事態に気づいた女性は、
「もおっ!!なにやっとんの!あんたは~!!」
と怒って抱き上げ、
泣き止まない女の子の口をふさぎながら、
周りの視線をとても気にしている様子で、
顔が高潮し、
すごい声で泣き続ける女の子に、
「痛ないやろ!?痛ないやろ!?
なんにも無かったやろ!?」
と何度も何度も繰り返していた。
母親は恥ずかしかったかもしれない。
周りの視線が痛かったかもしれない。
罪悪感を一気に感じたのかもしれない。
動揺し、パニックだったかもしれない。
母親がそのとき、
どんなことを思っていたのかなんて
推測することはできても、
本当のところは
その母親にしかわからない。
だけど・・・どんな気持ちであっても・・・
せめて、
「よしよし・・・。」
と撫でて抱きしめてあげてほしかった。
できれば・・・
「よしよし・・痛かった?
怖かったね??・・よしよし・・・。」
と言ってあげて欲しかった。
そして・・・
もしも、周りを意識せずに
女の子の気持ちだけを考えてあげれる余裕があったなら・・・
〝ごめんね??〟
を言い添えてあげて欲しかったな・・・と思った。

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